れぽレポート

思ったことをダラダラと。映画のお話。たまーに音楽や本も。

レイ・ヴクサヴィッチ『僕らが天王星に着くころ』 皮膚が宇宙服になる病

 

「モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった。」

 

自分でも残念に思っているのですが私はあまり読書をしません。

集中力が持続しないんですよね…

ですが今回は本のことを。

 

先日Amazonで注文した本が届きました。

 

『月の部屋で会いましょう』

 月の部屋で会いましょう

 アメリカのSF作家、レイ・ヴクサヴィッチの短編集です。

 

ヴクサヴィッチを知ったのは昨年のこと。

友人に『変愛小説集』という短編集を

貸してもらったのがきっかけです。

 

そこに集められているのは一風変わった愛の物語ばかり。

タイトルを裏切らない内容でした(笑)

 その中の一編にヴクサヴィッチの作品がありました。

 

それは『僕らが天王星に着くころ』というお話。

 「モリーに宇宙服が出はじめたのは春だった。」

記事の冒頭にも載せたこの文章から物語が始まります。

 

あらすじをざっと書きますね。

以下、ネタバレありです。

 

 

 

 

 

主人公はモリーとジャックの夫婦。

彼らの住むアメリカでは“皮膚が宇宙服に変わってしまう病気”が大流行。

その病に侵された人は、足先から徐々に皮膚が銀色の宇宙服になり

最後には宇宙に飛び立ってしまうのです。

 妻のモリーは夫のジャックよりも先に病にかかり

宇宙への出発が刻一刻と近づいている状態。

 ジャックの病状も進行しているとは言え

二人が同じタイミングで宇宙へ行くことはできません。 

 妻を愛するジャックは自分の宇宙服が完成するまで

何としても彼女を地上にとどめておこうと思案しますが…

 

 

互いを愛するがゆえに

残されたわずかな時間の過ごし方を巡ってすれ違ってしまう二人。

 

そのやりとりがなんとも切なく、

読んでいた電車の中で泣いてしまいました。

とは言え、このお話には陳腐な悲壮感が少しも漂っていません。

 

それはやはり

皮膚が「宇宙服」になるという病におかしみがあるからかな。

 

あまりに突飛な症状で、私はすぐに飲み込めませんでした。

しかし読み進めるうちに思いました。

「なんてふざけた美しい病だろう」と。

 

二人の間に立ちはだかるのは

「死」ではなく「宇宙」。

哀しいけれど素敵な病だと思います。

 

こんな病気を思いつくヴクサヴィッチとかいう人の他の作品も読みたい!

と読み終えた時に思ったのですが、

私の めんどくさがりの性分が邪魔をしてそのまま放置となりました。

 

ですが、なぜか今月になって(今更ですね笑)

ヴクサヴィッチ作品を猛烈に読みたくなり

『月の部屋で会いましょう』の購入に至ったわけです。

 

どんなお話が待っているのかワクワク。

これをきっかけに私の読書量が増えるといいなあ

なんてことも思ってます。

 

ではではここで失礼いたします。